TSUNA-GARU-TOCHIGI

食べる・見る・買う…何気ない営みの中にも、実は栃木の良さがいっぱい。生産者、農作物など普段は裏方であるもう一人のヒーローを紐解くことで「人」の繋がりが見えてくる。

2019年6月

帰農志塾


自然の持つ力を生かした地球に優しい有機農業

 山に囲まれたのどかな景色の中に、約7ヘクタールの畑で少量多品目で旬の野菜を有機農業で育てている農場がある。「帰農志塾」と呼ばれるその場所は、日本農業の後継者を育てるために、約40年前に設立された。巣立った生徒たちは新規就農や技術協力活動を国内外で行なっている。“今を共に生きる”の理念を掲げ、「自分でやれることは自分でやる農業」を教示する、塾長の戸松正行さん。元々は塾生として入塾したが、妻との結婚を機に2代目となり、この塾の指揮をとる。「土がすべての源です」広大な農場の土作りは、裏山の落ち葉を集めるところからスタート。「落ち葉に米ぬかや鶏糞を混ぜて腐葉土に。1年かけて発酵させるので、“いい菌”のいる良質な土になります」発酵食品の菌が人間の体に良いように、土にとっても発酵でできた菌は病気を蹴散らす役目を果たす。農薬で土壌に負荷をかけないため、連作障害の心配も無い。「鶏を700羽育てているので、鶏糞も自給。いろいろ手間は掛かりますが、土も野菜も無理なく、自分たちの力でたくましく育つ。それが「帰農志塾」の農業です」
 宇都宮の長岡町に店舗を構える「すし華亭」では、おいしい江戸前寿司のほかにも、一品料理が豊富にそろう。定番人気の天ぷらには、「あぜみちで購入した旬の野菜を使っています」と店長の柴田さん。コーンサラダ油とごま油を使用した天ぷらは、香りが芳しく、軽やかな揚げ上がりだ。「海鮮類は下衣(小麦粉)をまぶしてから衣を付けます。すると衣が剥がれにくいですよ」揚げ上がりには、衣を散らし、天ぷらに花を咲かせる。このひと手間こそが、見た目にもおいしい料理になる秘訣だ。
 作物も料理も、手間を惜しまずに作られた物がやっぱりおいしい。

Information

帰農志塾

www.kinousijyuku.com

鶏糞を腐葉土作りやぼかし肥料に使用。卵は販売。「帰農志塾」の自然環境を生かした有機農業を説明してくれた塾長の戸松さん。

すし華亭 長岡店

* TSUNA-GU 店

Information

329-1323 さくら市卯の里2-24-1

電話:
028-600-1551
営業時間:
AM11:30〜PM3:00(L.O./PM2:30)、
PM5:00〜PM9:30(L.O./PM9:00)
(土曜/〜PM10:00(L.O./PM9:30))
休:
木曜
駐車場:
30台

* TSUNA-GU グルメ

大海老と季節野菜の天ぷら

 大きなエビの天ぷらに、毎朝あぜみちで仕入れるという新鮮な地場野菜のアスパラ、ナス、レンコンが美しく盛り付けられた一品。ショウガ入りの甘みのある天つゆや、天ぷら用の塩で味わって。