農家紹介

農産直売所「あぜみち」にご提供いただいている農家さんや、あぜみちで取り扱っている季節の野菜を使ってくれているお店のご紹介です。

お知りになりたい農家さんを選んで下さい。

小山いちご農園 小山 雅史さんイチゴへの情熱が育む濃厚美味なスカイベリー

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 宇都宮市東部の田園地帯で「スカイベリー」のみを4棟のハウスで栽培する小山さん。父親は「とちおとめ」と「とちあいか」を育てるイチゴ農家だが、当初、自身はJAに勤務。しかし父が高齢になったことと、自身の今後を改めて考えた末、40歳を機に転職を決意したそう。県の農業大学校を経て就農し、今年2回目の収穫期を迎えている。「身近な先生として父がいてくれるのは心強いですが、同じイチゴでも種類により育て方が全然違うんです」と難しさを話す。
 小山さんのスカイベリーは味が濃いと評判だ。おいしいイチゴを育てるコツは「水に液肥を混ぜ、少量を多回数で与えています。また自家培養した菌を散布し改良したりしています」と教えてくれた。ハウス内には、いつでも気温や地温、CO2濃度などを携帯電話で確認できる環境制御装置を設置し、水やりやハウスの開閉による温度管理を自動化するなど、スマート農法による効率化を図っており、農薬を極力使わないよう、イチゴの大敵ハダニ駆除に天敵を放つ、ハウスの保温には灯油暖房ではなく、ウォーターカーテンを取り入れるなど、環境にも配慮している。さまざまな取り組みを行いながらも「もっとやれることがあるはず」と小山さん。イチゴ作りへの情熱はとどまることがないようだ。
 そんなこだわりのイチゴを使いタルトを作るのは、開店一周年を迎える「メテオール」の菊池侑介店長。ショーケースには地元農家から毎日仕入れる大粒イチゴを使ったケーキが並ぶ。「食べ比べても地元のイチゴが一番おいしい」と菊池さんは言う。厳選素材で作るしっとり感が自慢のスポンジと、配合にこだわった生クリームに大粒のイチゴ。王道にして至高のスイーツに違いない。

パック詰めにも機械を導入し、スタッフの負担を軽減している。規格外のスカイベリーをあぜみちでは「いちご」として販売しているのでチェックしてみて。

NANTAIファーム 福島 章生さん見た目も味わいも特別な平飼い鶏の絶品卵

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 日光宇都宮道路大沢インターチェンジからほど近い山裾に、今年オープンしたNANTAIファーム。豊かな自然の中、400羽のボリスブラウンと100羽の東京烏骨鶏を平飼いで育てている。養鶏場を任されているのが福島さんだ。「入社するまでペットを飼ったこともなく、大丈夫なのか不安もありました」。一からすべて手探りの状態、周囲の有識者からアドバイスをもらいながら、試行錯誤を重ねてきた。「戸惑うこともありますが、とにかく鶏たちがかわいいです」と目を細める。
 NANTAIファームの鶏たちは、砂遊びをしたり爪とぎをしたり、自由な環境の中でストレスなく育てられる。餌は良質な魚粉や、抗酸化作用のあるアスタキサンチン、ルテイン、カキ殻、貝の化石などを独自で配合し、水は塩素などを含まない地下水を与えている。恵まれた環境で産まれる卵は、割ると違いが一目瞭然。「手でつまめるほど弾力があり、かき混ぜても黄身と白身がなかなか混ざらない」という。味ももちろん別格だ。特に甘みがある白身が特徴で「卵かけご飯で味わってください。違いがわかります」と胸を張る。9月に烏骨鶏のヒナ100羽が新たに仲間入りし、ますます多忙な福島さん。鶏へ惜しみない愛情を注ぎながら、さらなる高品質な卵を生産するため、試行錯誤はまだまだ続きそうだ。
 そんな卵のおいしさをダイレクトに感じられる料理として『ふわとろ♪たんぽぽオムライス』を紹介してくれたのは、ハンバーグなど肉料理が人気の「りべるた食堂」。卵は「黄身の色味の美しさとコクで選ぶ」という坂田 剛シェフ。ふわりとした食感と濃厚な味わいは、寒い季節にほっこりとやさしい気持ちを運んでくれる一皿だ。

敷地内には直売所もあり遠方から購入に訪れるリピーターも増えているという。鶏たちは福島さんになついており、一斉に後をついて鶏舎内を歩く様子は圧巻だ。

58ロハスファーム 伊東 一寛農場長個性的なイタリア野菜をオーガニックで栽培

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 58ロハスクラブがゴルフ場だった時代、レストランでおいしい野菜を提供したいと、敷地内に自社農場を作ったのがロハスファームの始まり。施設は形を変えたが農場はそのまま、イタリア野菜を中心に個性的なオーガニック野菜を栽培し続けてきた。「遠方から野菜を買うためだけに来てくれる人がいる。おいしいと言ってもらえるのが、何よりのやりがいですね」と農場長の伊東さん。ロハスファームには、矢板市と塩谷町の2カ所に農場があり、伊東さんは塩谷農場で主にトマトとイチゴを栽培している。塩谷農場は、もともと河川敷だったため水はけがよく、トマトの栽培に適した環境。肉厚で甘く特に人気が高い『トマトベリー』や『フルティカ』など5~6種類のトマトをほぼ通年栽培している。
 また矢板農場ではカリフラワーに似た『カリフローレ』や、丸い形の『イタリアナス』など、個性的な野菜が種類豊富に栽培されており、冬は『ロイヤルクイーン』という珍しいイチゴが最盛期を迎える。「女峰を開発した赤木さんが開発したイチゴで、実の中まで真っ赤。本当においしい」と伊東さん。市場には流通しない幻のイチゴだが、ここでは摘み取り体験ができ、直売もされる。あぜみちではロハスファームのブルーベリーやイチゴを使ったジャムを販売。粒が残るぜいたくな味が楽しめる。
 一方、「紫塚ゴルフ倶楽部レストラン」では、ロハスファーム自慢のトマトを使ったメニューが、朝食ビュッフェで提供されている。首都圏から訪れるゲストに、新鮮な地場野菜たっぷりの料理は大人気。「ロハスファームのトマトは実がしっかりしていて甘いですね」と料理長の渡辺さん。プロの技でさらに味わいを深めるトマトを、リッチな雰囲気のなか堪能したい。

親子2代でトマトづくりを続ける伊東さん。たくさんの愛情を受け育ったトマトは、真っ赤な宝石のように美しい輝きを放つ。

直井果樹園 直井 透さん昭和天皇にも献上された甘くみずみずしい完熟梨

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 大正3年創業、宇都宮市の東部に広がるのどかな田園地帯にある直井果樹園。三代目の直井透さんは、妻の光子さんと二人三脚で梨を栽培している。「うちは目が行き届く広さの農園だから、ホルモン剤なども使わず自然のままに育てています」と透さん。ホルモン剤を使うと実は大きく育つが、自然に育った梨とは甘さが違うのだそう。有機肥料100パーセント、除草剤は使わず、草刈り機で刈り取り、刈り取った草は土に帰し肥料としている。農薬も極力使わないため、虫や病気には特に気を遣うそう。「病気などは早く見極めて対処しないといけないので気が抜けない」というが、そこに対応できるのは透さんの長年の経験があるからこそだ。かつては、昭和天皇が那須の御用邸で夏の静養をされるときは、必ず梨を献上していたということからも、その品質の高さがうかがえる。「毎年遠くからわざわざ買いに来てくれる常連さんもいるし、知り合いの梨屋が食べたがるんだよ。だから辞められない」と目を細める透さんを「リアルマリオみたいでしょう?」と笑顔で紹介してくれたのは次女の直美さんだ。現在は農業大学校に通い、農園の敷地の一角でオリーブやカボチャの栽培を行っている。透さん自身が「うちの梨は自分で食べてもおいしい」と胸を張る、愛情たっぷりに育てられた自慢の梨を、ぜひ味わってほしい。
 一方、直美さんは『宮ぴくるす』の製造にも携わる。直井果樹園の梨を使った『梨のぴくるす』は、今年から販売開始される新商品だ。「栃木のおいしい梨をあらたな形で提案したい」と話すCooking & Glow代表の金原 恵美さん。梨の歯ごたえや爽やかな甘みを消さないよう試作を重ねたという。梨の新たな味わいを楽しんでみては。

直井果樹園の完熟梨は「あぜみち」上戸祭店・駅東店のほか、果樹園の直売所でも購入できる。毎年ファンが待ち望む味をご賞味あれ。

黒川梨園 黒川 伸介一さん市街地近くの農園で糖度の高い完熟梨を栽培

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 宇都宮市中心部から国道123号線を東へ向かい、鬼怒大橋を渡り終えたところ、道の両側に広がる梨畑が黒川梨園だ。一町二反の広さを、両親と奥様と、家族4人で手がける。取材時は「幸水」が実をつけ始めたばかり、8月下旬には「豊水」が最盛期を迎える。街なかでの梨の栽培は難しいのでは?と質問すると予想外の答えが返ってきた。「ここはもともと鬼怒川の河原だったところで、少し掘ると砂が出てくる。お陰で水はけがとてもよいですし、畑の横を大きな道路が通っていることで、車が風を作り空気を循環してくれるので、冬の寒さが和らぎ、霜の被害を受けにくい。実は梨の栽培にとても向いている土地なんです」そう教えてくれた。「梨農家は冬は暇なんでしょう?とよく言われるんですよ」と笑う黒川さんだが、実は一年中多忙だ。冬場は枝を剪定し、高く伸びすぎないよう横に這わせる作業を行う。たくさん枝を残せば梨の収穫量は増えるが、黒川さんは太陽の光が実にしっかり届くようにと間引く。そして夏場は灌水。水はけが良い土地ゆえ、水の管理には特に気を遣うそうだ。そうしてたっぷりの愛情を受け、樹上で完熟した梨は格別の味わい。毎年、遠方から訪れるリピータ―も多いという。これからの時期は、贈答用「にっこり」の予約も始まり、まだまだ繁忙期が続きそうだ。
 そして、毎年この時期になると梨を使ったケーキがショーウインドウに並ぶのは、宇都宮の人気洋菓子店『S・ナカヤマ』。水分が多く生菓子には向かないと言われる梨だが、軽く煮たり、ゼリーでコーティングするなど工夫を凝らし、梨の食感を崩すことなく新たなおいしさを提供している。季節限定商品のため、購入に訪れる際は事前に確認するのがおすすめ。

自慢のおいしい完熟梨は、直売所と「あぜみち」各店で購入できるほか、FAXでの注文も可能(090-8815-8885まで、事前に問い合わせを)。出荷準備を担当するのは奥様とお母さん。あ・うんの呼吸で作業が続く。

農業生産法人 株式会社 いわふね農園 樋渡 裕一さんホウレンソウを通年栽培いつか岩舟ブランドに!

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 栃木市内で唯一、通年でホウレンソウを栽培している「いわふね農園」。樋渡さん一家は、福島県から6年前に岩舟に移住、土づくりや35棟あるハウス・ネットの設置、水路整備など、すべて自力で作り上げてきた。もみ殻やたい肥を二次発酵した有機肥料を使用、種も時期に合わせ使い分け、地下水から徐鉄するためのフィルターを設置するなど、さまざまな改良を行ってきたが、一番大切なことは「ホウレンソウと話をすること」だという。「元気ないけどどうした?とか毎日話しかけると、わかることがたくさんある」と話す。「ハウス栽培は成長速度を調整するのが難しいんです」。苦労もあるが「野菜嫌いのお子さんが、うちのホウレンソウなら食べる、などと聞くとうれしくて」と笑顔で話す樋渡さん。いわふね農園のホウレンソウは、愛情をたっぷりに育てられている。
 一方ハウスの傍らでは、夏場はカボチャ、冬場はブロッコリーも栽培されている。福島での農業時代と同じ品種を育てる樋渡さんの中には、変わらない福島愛がある。「私が育った地区には“岩船”という地名があって“大平山”もある。不思議な縁を感じています」と話す樋渡さん。第二の故郷・岩舟町のために、若手農家に指導を行い技術を惜しみなく伝えている。今後は、地元の農家同士で連携しながら、岩舟ブランドを立ち上げるのが目標だ。
 そして、同じ岩舟町にあるA5ランク和牛の焼肉専門店「松喜」でも、地元産のホウレンソウやカボチャを使ったメニューを提供している。「岩舟エリアで育てられる食材のおいしさを、お客様に伝えたいです」と、松井オーナー。その日一番のやわらかく脂がのった肉と新鮮な地元野菜、暑い夏を乗り切るパワーチャージに訪れたい。

ハウスの中では、時期をずらし栽培されているホウレンソウが常に出荷できる状態で待機。夏場の暑さ対策には断熱ネットを使用

株式会社 大三 小松 大起さん就農して13年目若い力で大規模農場を経営

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 下野市内に約3万坪、ハウスだけで1万800坪という広大な農地を所有し、年間を通してホウレン草や小松菜、ナスを中心に多くの野菜を栽培している株式会社 大三。代表を務める小松さんは「自分が農家になるなんて思っていなかった」と笑う。実家は非農家の自営業で、社会人となった当初は家業を手伝っていたが27歳で退職。何をしようか考えた時、自然と触れ合うことができる農業に魅力を感じ、一から取り組むことを決めた。当時はリーマンショック後の第一次就農ブーム、県農業大学校の未来塾を卒業後、新規就農者支援事業を利用し、下野市に農地を借り、最初の一歩を踏み出した。その後「失敗もたくさんしつつ(笑)」今年農園は13年目を迎えている。「育て方が違う多くの野菜を栽培していくには、たくさんの知識と経験が必要です。植え付け時期、水や肥料の与え方など試行錯誤を続けてきました」と話す。たくさんの苦労がある中でも『野菜作りと人づくりに愛情をかけること』は決して忘れない小松さん。農園のスタッフは20名以上、海外からの技能実習生も多く、少しでも楽しい環境で働いてもらいたいと、小松さん自らハンドルを握り、スキーや登山に連れ出すこともあるという。そんな愛情あふれる経営者のもと、まだまだ成長し続ける、農園の今後が楽しみだ。
 そんな大三自慢のナスを使った創作フレンチを作り上げるのは、ビストロウエノのオーナーシェフ上野 剛さん。「水分がしっかり詰まった上質なナスだというのは、手に持っただけでわかりますね」と評価は高い。「これからの季節、どんどんおいしくなるナスをぜひ味わってください」。ナスを使った夏限定メニューはほかにも多数。ゆっくりワイン片手に味わいたい。

収穫が始まったばかりのナス。苗は大人の背丈を超えるほどに成長していくそう。バイタリティと愛情あふれる小松代表。

フジワラアグリコルトゥーラ 農業アドバイザー相田 巧さん次世代農業の形を目指すオーガニック農園

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 宇都宮市北部、東京ドーム1個分という広大な敷地一面に、ソーラーパネルが並んでいる。その足元を有効活用し、土壌改良を一から行い、年間120種類ものオーガニック野菜を栽培しているのが「フジワラアグリコルトゥーラ」だ。今年2月からネット販売を開始すると「今まで食べていた野菜とは別物!」と驚きの声が上がり、すでに多くのリピーターを獲得している。「本当においしいので、一度食べてみてください」と胸を張るのは木村 理 代表だ。木村さんもスタッフも、もとは農業とは無縁。海外から来日しているスタッフもおり「彼らに技術を身につけさせ独立させたい」と木村さん。「いずれ敷地を広げて観光農園を作りたい」という構想もあるのだそう。ソーラーパネル売電と野菜栽培で収益を得、人を育てることで国際貢献の一助ともなる可能性を秘めるこの農園の形は、新しいビジネスモデルの提案にもなっているのだ。
 そんな木村さんに賛同し、アドバザーを務めるのは農業指導のスペシャリスト相田 巧さん。埼玉県から足を運び、直接指導を行っている。相田さんにとってもこの規模の農園づくりは初めての経験だそうだが「安全でおいしく栄養豊富な野菜を作り、自動化・省人化させた持続可能な次世代農業の仕組み作りに協力できたらと思っています」と話してくれた。
 四季折々たくさんの野菜が実るフジワラアグリコルトゥーラでも、人気野菜の一つがアスパラガス。宇都宮市にある健康志向のデリ専門店「FARMDELI」でもこの時期アスパラメニューが登場する。「アスパラは今が最盛期。みずみずしく甘い味わいを楽しんでほしいですね」と相馬オーナー。オーガニック野菜の力強い味わいをぜひ一度味わってみてほしい。

若いスタッフが自然本来の力を使った農業に取り組む。放し飼いのチャボや軍鶏などは除草担当。

株式会社 キヌナーセリー 齋藤 芳哲さん全国に名を知られる胡蝶蘭栽培のパイオニア

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 宇都宮市東部、鬼怒川近くに並ぶハウスに入ると、胡蝶蘭に囲まれる夢のような世界が広がっていた。キヌナーセリーが胡蝶蘭の栽培を始めたのは1973年、まだ栽培方法が確立しないなか、試行錯誤を重ね、現在、年間出荷数22万株という、全国でも指折りの胡蝶蘭栽培農家となった。通常、海外で育てた苗を輸入し、国内で花を咲かせ出荷するスタイルが胡蝶蘭栽培の主流だが、キヌナーセリーではグループ企業連携によるリレー栽培を導入。自社ですべての工程を管理し、貴重な純国産の胡蝶蘭を生産している。「胡蝶蘭は生育環境を整えるのが難しく、栽培期間も2年~2年半と長いため、高い技術が必要です。日々花と向き合い手をかけた結果が、咲いたときにわかる。そこがやりがいですね」と齋藤さん。これまでも多くのオリジナル品種を生み出しているが、現在も新品種開発を続けるなど、前進を続けている。
 一方、咲き終わった株を預かり再び花を咲かせる取り組みも行っており、全国から依頼が舞い込む。贈った人と受け取った人、それぞれの想いをつなぐ特別な蘭だからこそ長く楽しんでほしい、そんな齋藤さんの想いが伝わる。「もっと多くの人に蘭の魅力を伝えたい。身近に感じてもらう工夫をこれから考えていきたいですね」。
 そんな愛情を込めて育てられた胡蝶蘭を、母の日の贈り物として提案してくれるのは「ffHK 花亀」。「齋藤さんの胡蝶蘭は本当に品質が高く素晴らしい。日持ちもするので自信を持って勧められます」と亀井店長。「コロナ禍でなかなか会えないお母さんに、いつもよりちょっと豪華に胡蝶蘭を送りたいという方も多いです」。こんな時だからこそ「幸福が飛んでくる」という花言葉を持つ胡蝶蘭を贈ってみてはいかがだろう。

色とりどりに咲き誇る胡蝶蘭。仕上げも熟練スタッフが行う。

髙橋農園 髙橋 祐哉さん祖父の想いを受け継ぎ イチゴ農家へ転身

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 2年前まで、飲食店の店長を務めていた髙橋さん。29歳という若さで農家へ転身したきっかけは祖父の死だった。野菜嫌いだったが、祖父の育てた野菜だけは食べられたという髙橋さんにとって、祖父の畑は特別な場所。しかし祖父の死後、畑は放置され荒れていった。「自分のルーツであり、祖父が大切にしていた畑を守りたくて、農家を継ぐ決心をしました」。店を辞め、県農業大学校の未来塾で技術を学び、昨年イチゴ農家として一歩を踏み出した。とはいえ既に50メートルのハウスが8棟、新規参入としては大規模だ。「農家は家族経営が多いですが、僕は企業化したいです。そのためには年間を通しての収益が必要で、夏野菜の栽培なども考えたらこの規模になりました」。店長として培った経営者視点も役立っている。「他業種から入る僕のような立場は、新しいことにチャレンジしやすい。これから農業をやりたいと思っている人たちが働きやすい環境づくりを考えていきたいです」。
 現在栽培しているのは「とちおとめ」のみだが、いずれ品種を増やし、ハウスを増設し、市街地から近い立地を生かした観光農園のような形を作り、地域のカフェなどとコラボレーションし街を盛り上げたいと考えているそう。髙橋さんの今後の活躍が楽しみだ。  そんな髙橋農園の「とちおとめ」を使ったフルーツサンドが人気なのが、昨年オリオン通りにオープンした「茶果TEA ROOM」。「髙橋さんはいつも真っ赤に完熟した一番おいしいイチゴを届けてくれます」と荒井店長。「酸味と甘さのバランスが良く本当においしいイチゴなのでいろいろ使ってみたくなります」。イチゴと店オリジナル生クリームとの相性も抜群。至福のひとときを運ぶ一品だ。

大谷石の蔵が選果場兼直売所。大きな完熟イチゴは、温度や梱包方法までこだわった独自のマニュアルのもと管理され出荷される。

リンネ農園 仙波 洋子さん初収穫にしてこの品質!肉厚な極上シイタケ

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 農業とはまったく無縁だった仙波さんが、初めてのシイタケの栽培を始めたのは昨年6月。経営母体である仙波建設がシイタケ栽培に取り組むことを決め、仙波さんが任されることとなったのだ。すべてが初めての経験、壬生町にある菌床メーカー「株式会社 北研」の研修を受けノウハウを学び、今もサポートを受けながら栽培にあたっているという。試行錯誤を繰り返し育てたシイタケは無事収穫期を迎え、今は出荷作業の真っただ中だ。「シイタケはとても繊細で、環境が少しでも違ってしまうと思うように育ちません。ちょっとぶつかった刺激で、大量に発生してしまったり(笑)失敗もありますね」。通常シイタケ栽培は、菌床全体から発生させる「全面栽培」だが、リンネ農園では、側面をビニールで囲み、上面からのみ発生させる「上面栽培」を採用、培地中の栄養分や水分が効率よく吸収されるこの栽培方法により、大きくて肉厚なシイタケが育っている。現在、8000床の菌床が並ぶハウスが3棟、さらに1棟増築中で3万床の規模になる予定。「今後は子どもたちに摘み取り体験をしてもらえるようにして、食育にもつなげていきたいと思っています」。仙波さんのシイタケ栽培への情熱が、今後どう展開していくのか楽しみだ。
 そんなリンネ農園のシイタケを手に「本当に立派なシイタケで、いろいろな料理に使ってみたくなりますね」と話すのは「トラットリアココロ」の若色謙次シェフ。「肉厚で甘みとうまみがたっぷり。焼いても形が崩れず、ジューシーでそのまま焼くだけで十分おいしいです。本当に上質なシイタケですよ」と太鼓判を押す。リンネ農園の極上シイタケは、あぜみち上戸祭店・鹿沼店ほか、道の駅にのみややネット通販などで購入可能だ。

ハウスの管理には、湿度や二酸化炭素濃度などを自動計測し、スマホにデータを届けてくれるアプリも採用。「スタッフ全員で繊細なシイタケの環境に細心の注意を払い心を込めて育てています」。

株式会社 谷中農園 谷中 正幸さん高い糖度と強いうまみ 食べた人を魅了するイチゴ

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 いつも頭の中にはイチゴのことがある、という谷中さん。「全然関係ないことをしていても、これはイチゴに応用できるかも、と考えてしまうんです」と話す。谷中農園の三代目、二代目の父と70aの畑で「とちおとめ」「スカイベリー」「とちあいか」を栽培している。通常イチゴの糖度は10度前後だが、谷中農園のイチゴは糖度13度、濃厚な甘い味わいに、一度食べた人は口をそろえて「谷中農園のイチゴは違う」と驚く。「特別なことは何もしていません。一つひとつの仕事を、すべて高いレベルで確実に行うだけです」。イチゴという小さな植物の小さな変化を、見逃さないよう注意深く観察し、先を見越し対応を考える。当たり前のことを当たり前に行うこと、その難しさに真摯に向き合う谷中さんの姿からは、イチゴへの深い愛情を感じずにはいられない。
 今後はイチゴを使ったクラフトビールの製造などにも取り組む。「イチゴはとてもポテンシャルが高く、たくさんの可能性を秘めているんです」。新しい取り組みを先頭に立って行い、後進のモデルケースを作りたいと語ってくれた。
 そんな谷中さんのイチゴに魅せられ、ケーキ名に「谷中農園」とつけた商品を販売しているのが、栃木市の人気フランス菓子店「ソワール」の片柳店長。「谷中さんのイチゴは香り・味・こだわりが感じられ、味にブレがない。タルトのほかにも、『フレジエ・ピスターシュ』『エクレール・とちおとめピスターシュ』など、谷中さんのイチゴを使った商品がありますので、ぜひ違いを楽しんでください」。谷中農園のイチゴを使ったスイーツは、「ソワール」のほか「シャンティイ」「和菓子処 仁」「かのこ庵」でも楽しむことができるので、ぜひ食べ比べてみて。

土での栽培のほか、高設水耕栽培にも取り組む。谷中さんのイチゴは栃木市内「コエド市場」「よっとこれ」、小山市「四季彩館」、宇都宮市ろまんちっく村「あおぞら館」「あぜみち各店」などで購入できる。

田口いちごファーム 田口 友章さんその味わいに誰もが驚く概念を覆すスカイベリー

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 11月に新たに建てた選果場を兼ねた直売所をオープンしたばかりの「田口いちごファーム」。代表を務める友章さんは、建築関係の仕事からイチゴ農家に転身して10年となる。先代の父親からノウハウを学びながら、自身も「とちぎ農業未来塾」でイチゴづくりや、経営など農業の基本を学んだそう。現在は52 aの畑で、とちおとめ・スカイベリー・とちあいか・ミルキーベリーを栽培している。特に、スカイベリーについては、7年前の品種開発の段階から参加し、栽培方法の確立に貢献してきた。
 友章さんが作るスカイベリーは別格とさえ言われ、他県からわざわざ買い求めに来るリピーターも大勢いるという超一級品だ。高品質のイチゴを作り上げる秘密は「土」にあるという。「品種それぞれに合った土づくりにこだわり、有機肥料を使って栽培しています。水はけの良い畑であることも、味に締りがあるおいしいいちごを作るためには大切ですね」。こうしたイチゴづくりの確かな技術が認められ、田口さんは県知事から“農業マイスター”に認定されており、研修生を預かり農業指導を行っている。「毎年気候が違いますから、育て方も違ってきます。同業のグループで情報交換を行い、良いと聞けば取り入れたりしています」。認められて尚、試行錯誤を繰り返しさらなる上を目指す田口さん、試食させていただいたイチゴの豊かな味わいに、イチゴつくりへの情熱が感じられた。
 イチゴ王国とちぎの飲食店では、この季節さまざまなイチゴスイーツがメニューを彩る。宇都宮市にある「カフェアンフィル」では、人気の『季節のフルーツタルト』の主役がイチゴに。パティシエの技でさらにおいしくなったイチゴの味わいを存分に楽しみたい。

11月23日に新築オープンした選果場兼直売所。イチゴを買い求める客が次々やってくる。大きな実が熟してから収穫される。

農業生産法人 株式会社 篠原ファーム 篠原 和貴さん6次化にも取組む 新たな形のイチゴ農園

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 小山市にある篠原ファーム代表を務める和貴さん。「家を継いで農業をやろうとは思っていませんでした」。大学を出て一般企業に就職、農家は手伝い程度だったが、先代の父と一緒にイチゴ作りと向き合う中で、徐々に「やってみようか」と気持ちに変化が起きた。現在は、49アールあるの畑で「とちおとめ」や「ミルキーベリー」のほか、今年から新品種「とちあいか」の栽培にも着手している。
 また、経営者となった今、きついと評されがちな農業について、楽しい仕事にするにはどうしたらいいか?ここで働きたいと思ってもらうには何が必要か?を考えている。「新しく設置したハウスでは高設栽培を導入しました。立ったまま作業ができるので負担を軽減できます」。今後も環境改善を進めていくつもりだが、手を抜くことは一切考えていない。「農業は自分との戦い。手を抜こうと思えば抜けますが、その中でどれだけ手をかけられるかだと思います」。若き経営者の目は、今に満足することなく先を見据えている。  そして今月、作業場を兼ねた直売所をオープンした。「出荷するだけではわからないお客様のダイレクトな反応がわかるし、自分で作ったものは自分の手で売りたかったんです」。直売所にはイチゴを使ったジェラートが楽しめる店舗も併設している。
 一方、以前から篠原ファームでは6次化にも取り組んでおり、小山市内にある洋菓子店「シェフレ」を経営。店ではケーキなどにイチゴをそのまま使うのはもちろん、形が揃わず出荷できなかったイチゴを、ジェラートやソースとして活用している。今年は「とちあいか」を使ったメニューも考案中。今話題の「とちあいか」を、一足先にスイーツで味わってみては。

直売所横にある高設栽培を取り入れた新しいハウス。見学も可能。完成したばかりの直売所に併設されるジェラート店「いちご日和り」。

ぬい農園 縫村 啓美(はるみ)さん有機農法・有機栽培に沿う 新しい農業の形を目指す

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 栃木市北部の自然豊かな場所にあり、栽培期間中は化学農薬、化学肥料を使用しない有機農法に沿った野菜作りを行っている「ぬい農園」。縫村さんは就農して今年4年目、6面ある畑の土壌改善を行いながら多くの野菜を栽培し、農園に合う野菜を探してきた。「気づいたら150種類くらいに増えてました(笑)。今後は70~80種類に絞ろうと思っています」。収穫した野菜は、直売所や飲食店に卸すほか、野菜セットを市内の個人宅へ宅配、また自らジャムなど加工品を製造するなど、さまざまな形で販売している。そんな縫村さんの目標は、味が良いだけではなく、見た目も美しい野菜を作ること。農薬を使わない栽培は虫食い対策や除草、害獣対策など課題も多く、まだまだ試行錯誤は続きそうだが、野菜作りは楽しいと話すその表情からは、日々の充実感と、野菜作りへの熱い想いが感じられた。
 一方、地域活性化にも積極的に取り組んでいる。近所の人が集える場所の提供や直売所の開設など、過疎化が進む地域に人を呼ぶ方法を模索中だ。「飲食店ともつながりつつ、一緒に地域を守っていきたいです」。農業を通じて地域に変化をもたらせたら、との想いも語ってくれた。
 そんな縫村さんの野菜を絶賛するのは『ピッツェリア クッチーナフラテッロ』のオーナー三澤秀樹さん。「同じ材料で同じ料理を作っても、縫村さんの野菜で作るとワンランク上のできあがりになる。びっくりするおいしさです」と教えてくれた。「ぬい農園」の野菜はうまみが強く、何もせずそのまま食べるのが一番だそうだ。
 地元だから使うのではなく、おいしいから使うという、地産地消の理想的な形を実現する一皿は、今日も多くの笑顔を運んでいる。

手入れの行き届いた畑で、これから旬を迎える大根も成長中。昨年仲間に加わった農園のマスコット、ヤギの「むぎ」は除草担当。

阿久津農園 阿久津正徳さん、政英さん国内最高峰の賞を受賞 稲作のプロフェッショナル

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 黄金色に輝く稲穂が揺れる田んぼを前に、「今年もいい米ができたと思います」と笑顔で口にする阿久津農園5代目の政英さん。日本最大のコンテスト「米・食味分析鑑定コンクール 国際大会」で、過去5年で4度の受賞実績があったが、昨年ついに最高部門の国際総合部門で“特別優秀賞”を受賞。「死ぬまでに一度は受賞したい」と夢見た賞を手にし、米どころ大田原市でも一目置かれる存在となった。
 ナスの栽培を手掛ける父正徳さんと、団体職員として勤務しながら、出勤前と休日を使い米づくりに携わる。二足のわらじを履いても、農業は楽しいという。特にこだわるのは苗づくり。阿久津さんは試行錯誤の末、発芽後すぐに緑色の芽を出す強い苗の栽培に成功。発芽後もハウスではなく、路地栽培でゆっくりと病気に強い苗を育てている。こうした独自の取り組みにリスクは付き物だが、それでもさらなるチャレンジを続けている。「おいしくて健康に良いお米を目指し、これからも追求していきたいです」。阿久津さんの言葉からは、米づくりへの強い情熱が伝わってきた。
 そんな阿久津さんのお米が食べられるのは、宇都宮市にある人気店「和食 了寛」。「阿久津さんの米は炊き上がりの香りが最高です。米肌がよく一粒ずつが立っている。甘みもあり、冷めてもおいしいですよ」とオーナーの田巻さん。土鍋で炊いた味わいはまた格別で、つやつやとした光を放ち、白飯だけでも食が進む。まさにプロも納得の“うまい飯”なのだ。
 阿久津さんの米は、あぜみち鹿沼店と下戸祭店で購入できる。店に並ぶと途端に売り切れてしまう人気だ。新米の季節、秋の味覚とともに、本当においしい米を味わうぜいたくを堪能しよう。

黄金色に輝く美しい稲穂。まもなく収穫を迎える。

3代目 阿部農園 阿部祐一さん生産の快適化を目指す高品質なリンゴ栽培

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 御伽話に出てきそうな、独特なフォルムのリンゴの木。「白雪姫に出てくる毒入りの果実は、なぜリンゴだったのか?」のアンサーが、「作者が個性的な木の形にインスパイアされたから」との解答だったら、至極納得できる。
 「低い位置に実がなるように、あえてこの形に剪定をしているんですよ」と阿部祐一さん。宇都宮市の日光街道沿いにある観光農園「阿部農園」の3代目として、昨年父から家業を引き継いだ。リンゴ狩りができる品種は「津軽」「名月」「秋映」「陽光」「ふじ」の5種類。この畑のほか、近隣に6カ所の果樹園を持つ。全耕地面積1ヘクタールを、両親と祐一さんの3人で管理。品種により収穫時期が変わるとはいえ、摘果や剪定作業は同時期に行わなければならないため、スピードが求められる。「低位置に枝があれば作業効率が上がります。剪定により収量は減りますが、取り遅れなどがなくなるため、品質は向上する。なので、お客様には喜んでいただけると思います」。加えて、年齢を重ねた両親が仕事をしやすくなることもポイントだという。収穫時のカゴの重さは約5キロ。脚立での作業が減れば、身体への負担も軽減する。「今後は植え替えを行っていきたい」と語る祐一さんの目標は、高品質なリンゴ栽培と、労働環境の整備だそうだ。
 リンゴとフォアグラとの相性の良さをタルトの形で表してくれたのは、同市内にある「天空ダイニング Regalo」の鈴木シェフ。リンゴの甘みと酸味が、濃厚なフォアグラと鶏レバーの味わいに寄り添った、個性的かつ趣深い一皿を完成してくれた。
 食材の可能性は無限大。新しい味との出会いは、私たちに喜びを与えてくれる。

7月下旬の様子。まだ青い部分が多い。これから色付き始め、8月下旬から順次販売予定。農園には樹齢30年を超える木も。

岡田ぶどう園 岡田貴志さんブドウの品種に適した 栽培方法で高品質な商品を

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 時は約70年前に遡る。貴志さんの祖父が野菜の生産を営む傍ら、敷地にささやかに植えていた1本のブドウの木。ここから岡田ぶどう園の歴史は始まった。ブドウの生産を本格的に行おうと、2代目園主が栽培規模を拡大。小規模だったブドウ畑は、今や130アールもの敷地で10品種以上を育てるまでになった。近年は、早期成園化・多収・軽労化・土壌病害対策など、たくさんのメリットがあるとされる「盛土式根圏制御栽培」を取り入れ、新しい農法にチャレンジ。ほか、暖房設備を完備したハウスの中では「短梢剪定栽培」を、斜面の土地では昔ながらの「露地栽培」を行うなど、栽培方法が実に多様だ。ハウスと露地で育てる品種の違いを聞いてみると、「昔からある品種は昔ながらの栽培方法で行っています」とのこと。露地栽培は雨ばかりだと黒とう病が発生したり、ハクビシンやアライグマによる被害に遭うこともあり、リスクが多い。そんなときに頼りになるのが、愛犬のベルとレオン。夜間は露地畑で過ごし、野生動物からの被害を守ってくれるそうだ。
 「岡田さんとは創業当時からのお付き合いをさせていただいてます」と教えてくれたのは、下戸祭にある「下野農園」のブランドマネージャー・玉井育子さん。“こだわりを持って生産された農畜産物を、多くの人に楽しんでもらう”をコンセプトに掲げ、地元食材の持ち味を存分に生かした料理を提供している。今回作ってくれた料理は、8月からのディナーコースのデザートとして考案された季節限定の一品だ。岡田さんが作るブドウの豊潤な味わいは、スイーツのおいしさを一段上に引き上げる立役者となっている。
 この時期限定の料理から、夏を感じてみてはいかがだろうか。

樹齢20年を超えるぶどうの木。1本の幹から広く伸びた枝にたくさんの果実が。

下川雅紀•下川明日香さん栄養豊富な生キクラゲを 那須ブランドで全国に

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 那須高原の木立に囲まれた、避暑に最適な立地に佇む“コンテナホテルに滞在”するのは、なんと「生キクラゲ」。「ものすごくワガママなんです、この子たち」と笑顔で話してくれたのは、昨年から生キクラゲの栽培を始めたという下川明日香さん。夫の雅紀さんと二人三脚で、「完全無農薬・通年室内栽培」を行う。コンテナ内は、室温、湿度、紫外線量を徹底管理。それらのデータはスマートフォンで確認ができるそうだ。ミストの噴出時間もタイマーで設定。ハイテクノロジーな技術を随所に取り入れながら、生産を行っている。
「キクラゲは90パーセントが水分のため、“いい水”がたくさん必要なのですが、水が当たるのを嫌うので、世話が大変なんです」。繊細な特性から、水やりは「一定方向から表面だけに」が鉄則。そして適宜、乾燥も必要だという。「重なり合うようにして生えるのですが、上側を早く収穫しないと下側が歪になる。本当に“ワガママ”ですよね」。土壌菌に冒されないよう、手と靴底の消毒も徹底。“手がかかる子ほど愛おしい”というような、温かな親心で見守り、栽培する姿が印象的だった。
 同市内に「旬味酒彩れん」を構え、生ゆばや生ドレッシングの工房も持つ料理長の原田哲典さん。20年にわたり、都内の料理店や那須の割烹旅館で磨き上げた腕を携え、21年前に自身の店を開店した。「生キクラゲ」を探し求めていた時に下川さんを紹介されたのが縁の始まりだとか。「下川さんの商品は歯ごたえが抜群。肉厚で最高です」。幅広い人脈を生かし、多くの料理人にこの生キクラゲを紹介。それにより恵まれた数々のつながりに、下川さんも感謝しきりだという。
生キクラゲの絶品料理を味わいに、この夏は那須に足を運ぼう。

2コンテナずつ成長速度を変えて育成。子どもたちも収穫を手伝う。生キクラゲは美顔用ブラシで丁寧に洗浄。乾燥は天日で行う。

若竹の杜 若山農場 若山太郎さん竹の植栽、観光農場 タケノコ農家新たな試み

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 凜とした空気が立ちこめる竹林の散策路を歩くだけで、神聖な気持ちになれる不思議な感覚。「毎日散歩をしますが、何度歩いても気持ちがいいんですよね」と、代表の若山さん。この竹林を大勢の人に楽しんでもらおうと、約2年前から観光農場を始めた。「昨年は約4万人の方にご来場いただきました」。あまたの映画やCMの撮影に使われてきた「若竹の杜」の評判は瞬く間に広まり、多くの観光客をとりこにしている。この景観の美しさは、100年以上前から続く竹林整備の賜物。代々続くタケノコ農家として、竹林の土づくりに尽力してきた成果なのだ。  近代的な栗栽培を全国に広めた3代前の当主と、豊洲市場で若山農場のタケノコの地位を確立した2代前の当主の志を受け継ぎながら、現当主の若山さんは竹の植栽や観光農場といった新規事業を展開。観光農場を始めてからの変化を問うと、「皆さまに喜んでもらいたいと、竹林管理のモチベーションがより高まりました」と微笑んだ。間引くために伐採した竹はオブジェや遊具のほか、茶屋で提供するための器として活用され、来訪者のもてなしに一役買っているそうだ。  「米ぬかを使ったタケノコの下ごしらえに一石を投じたい」と若山さん。皮を剥き、たっぷりの水で30分ほど煮立てるだけで十分、と話す。  その意見に同意し、“水だけのアク抜き”を実践するのは、同市内にあるレストラン「クーリ・ルージュ」のオーナーシェフ、石川資弘さんだ。「タケノコ本来のおいしさがより一層際立ちますよ」と、この下処理方法に太鼓判を押す。  石川シェフが監修した「筍ごはんの友」や「筍ごはんの素」など、手軽にタケノコ料理が楽しめる商品も大好評販売中。自宅でもプロの味を堪能しよう。

自家農場で採れた栗やタケノコの加工品は土産に最適と好評。孟宗竹林でのタケノコ収穫の様子。

宝咲農園 サンウェルス 富山皓斗さん清潔で無駄のない農業は新規就農者の良き手本に

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 汚れる、費用がかかる、早朝作業がつらい…。それらの“固定概念”を払拭する農業を実践する富山さん。「若い人たちも始めやすいと思う」という農業スタイルは“汚れない、安上がり、好きな時間に作業をする”というもので、一般的なイメージと真逆を行く。
 「ハウスはオークションサイトで購入した中古品です」。まるで新品と見まがう、長さ50メートルの立派なハウスの中、整然と並ぶのは「ANS独立ポット栽培」で養液栽培するミニトマトだ。「ハウスの中は土足厳禁。それにより外からの害虫を防ぎ、病気を抑制しています」。さらに少量培地なので、雑草防除が不要だそう。「余計な作業に時間を取られないので、自由な時間を多く取れる。大変という感覚がないので“農業をしている”というより“トマトのお世話をしている”という感じです。作業も好きな時間に行っているんですよ」。富山さんの畑は、無駄なものが一切ない。だからこそ、最小限のコストで品質のいいトマトの栽培が成り立つのだ。
 東京、イタリアで研鑚を積み、都内の有名店で料理長を務めた経歴を持つ、さくら市の「Anello」のオーナーシェフ・和氣弘典さんが宝咲農園のトマトで作ってくれたメニューは、トマトのパスタ。「このミニトマトは加熱してもほとんど水分が出てこないので、パスタのソースにピッタリです」と話す。ニンニクの香りを移したオリーブオイルにトマトを加え乳化させたシンプルなソースは、素材のうまみが際立つ逸品で、一口ほお張った瞬間に思わず目を見開いてしまうほどのおいしさだ。
 生産者の愛情が詰まった食材が、最高の腕を持つシェフの元へ渡ったとき、至高のパフォーマンスを携えて私たちを喜ばせてくれる。

ほとんどが自作、という清潔感あふれるハウス。独立している苗が印象的。糖度と酸味、食感のバランスが絶妙な「宝咲トマト」。

FARM ABE 阿部敏也さん ニラの国内生産量1位を目指し、新品種を育てる

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 栃木市西方の山間地。平地より日照時間が2、3時間短い土地で育てられる作物は限られる。色付きが重要とされる果物の栽培が難しいこの地では、ニラの育生が盛んだ。
 約10年前から二人三脚で「FARM ABE」を営む阿部さん夫妻。「ニラって意外と繊細なんですよ」と話す。ニラは根を残し切るとまた生えるため、生命力が強く育てやすそうなイメージだが、風に弱く、水はけの良い土を好みながらも水が足りないと葉が硬くなってしまうため、細やかな管理が必要だという。外気が冷たく、日差しの強い春の入り口は、温度管理が大変な時期。二重のビニールハウスで室温管理と風対策を行い、夜間はウォーターカーテンで気温がマイナスにならないように気を配る。ハウス内にぶら下がる二酸化炭素の袋は、光合成を促すためのものだ。「環境作りを行うときは、化学式を思い浮かべます」。ブロッコリーとの輪作を行うのも、土の栄養を考えてのことだ。
 以前は一般企業に勤めていたという阿部さん。農業の良さを問うと、「お客様の声が直接聞けることですね。おいしいって言ってもらえると、明日への活力になります」と笑顔で答えてくれた。
 「阿部さんのニラは、とても甘くておいしいんですよ」と「真名子そば」の女将。娘さんが毎朝打つ二八蕎麦とカツオ節未使用のまろやかなつゆを目当てに、多くの常連客が足を運ぶ。特に『にらそば』には、県外から足繁く通うファンも。2月ごろ限定で楽しめる、一番取りのニラで作った『にらそば』の味は格別だそうだ。  「真名子そば」は「FARM ABE」から車で約5分のところにある。その土地でできたものをその土地で味わえる。それはこの上ないぜいたくだ。土地の恵みを満喫しよう。

幅広な二番取りのニラで作った「ニラのおひたし」。フルーティな香りが特長。シャキシャキとした食感がおいしい。

カキヌマファーム “素人集団”が作る驚きの高糖度トマト

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 ガソリンスタンドや自動車販売、通信回線販売事業などを手がけてきた「株式会社カキヌマ」。これまで培ってきた“物を売る技術”に加え、“物を作る技術”にチャレンジすべく、昨年9月から農業に参入した。作っているのはフルーツトマト『とまおとめ』。パリッとした皮の中には、甘さと濃いうまみが詰まっている。平均糖度10度以上、その味わいはまさに“フルーツ”の名にふさわしい。
 “第三世代の農法”と呼ばれる「フィルム農法」を採用。「昨年9月から農業を始めた“素人集団”なので、農業未経験でも安定して高品質の農産物が作れる農法を調べた結果、フィルム農法を採用しました」と語る。土作りや水やり、根の管理など、経験を必要とする技術が限りなく少ないため、今注目を集めている新しい農法だ。
 生活の根幹を成す“食”。「農業を活性化することで、地域に貢献したい」と、異業種を経験してきたスタッフたちが、日々アイデアを出し合い、情熱を持って真摯に農業に向き合うその姿に、これからの農業の“形”を見た気がした。
 カキヌマファームで作られたトマトで美味なる一品を作り上げるのは、宇都宮市の栃木県子ども総合科学館近くに、昨年10月にオープンした「レストラン Humming bird」だ。トマトを使った料理を試行錯誤した結果、『とまおとめのゼリー』が誕生した。トマト本来の甘さを生かすため、糖分を控えめに仕上げているそうだが、十分な甘みが感じられる。濃厚なうまみが堪能できる『とまおとめ』は、サラダや料理で大活躍だ。
 “食”の世界で地域に貢献したいという情熱が、栃木の食文化を支え、発展させる。料理を味わうとき、そこに込められた作り手の想いも感じてみよう。

特殊なフィルムを使用した栽培方法を採用。トマト本来の力を引き出し、甘くてうまみが濃いトマトに仕上がる。

ながや品質にプライドを持ちブランドの認知を目指す

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 ブランド名を付けて販売するということ、それはすなわち、その商品の品質に責任を持つということだ。「農業従事者は生産者でもあり、経営者でもある」と話してくれたのは、宇都宮市でネギや米、マコモダケなどを生産する「ながや」代表の齋藤さん。齋藤さんの生産物には長屋門をイメージしたブランドマークが入っている。目標は、「このマークの商品がおいしかったからまた買おうと思ってもらうこと」。海外から安価な農作物が大量に輸入されると予想される未来に立ち向かうためには、「品質の良さ」での勝負が必要と考える。「“何県産”の記載だけで品質お構いなしに安値で販売をし続けたら、さらに低価格な海外産に客は流れてしまいます。好きなブランドの製品を購入するように、「このブランドだから」と多少値が張っても買いたくなるような商品作りが重要」と、12町ある田畑の管理を徹底する。多くの人に商品を知ってもらおうと、ネギを使った「オススメレシピ」を奥様が考案し、店頭で配布を行うこともあるそうだ。二人三脚で「ながやブランド」が広く受け入れられる日を目指し、精励恪勤に農業に励む。
 齋藤さんが作るネギをさまざまな料理に使い提供するのは、宇都宮市の中華料理店「満福」。本場の中華料理が種類豊富にそろい、かつリーズナブルにいただける。ネギは中華料理に欠かせない食材だ。だからこそ、ネギそのものの味や質がダイレクトに料理に影響する。吟味した結果、ネギの香りはしっかりしつつも、やわらかく甘みがある、そんな齋藤さんのネギが一番おいしかった、という。寒さのピークを迎えるこの時期がネギがもっともおいしくいただけるタイミングだ。旬だからこそのおいしさを享受しよう。

スライスしたネギをレンジで加熱し、カツオ節とポン酢で食す、「ねぎポン」。レシピが記載された「ながやマーク」が目印の商品。

Strawberry Farm Go若き生産者が挑む新品種の「白いイチゴ」

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 目を輝かせながら「自分のイチゴをつくりたい」と語る篠原さん。作り手によっても栽培法、味、見た目(葉や実のつき方)に違いがある。イチゴ栽培も例外ではない。
 実家も農業を営んでおり、大学卒業後は地元に戻り、農業の道へと決めていた。地元に戻るのだから栃木県の特産物を育てたいと、「栃木県農業試験場 いちご研究所」などで研修、現在27歳ながら「Strawberry Farm Go」の代表として栽培に取り組む。
 「栃木県農業試験場 いちご研究所」が開発した白い色のイチゴ「ミルキーベリー」。まろやかな果肉と濃厚な香りと味わいが特徴。県から親苗を直接購入し、生産開始となった。「ミルキーベリー」は、「新しいものに挑戦したい」という意欲的な篠原さんにとって絶好の機会。しかし、課題もある。売るための市場も自分で確保しなければならないのだ。それでも、毎日手をかけて育てたイチゴが日に日に実ることが最大の喜びだ。「今後は規模も拡大し、直売所や加工品もつくりたい」という、若き生産者の挑戦に目が離せない。
 「色とりどりのフルーツの中にアクセントで取り入れると面白いですね」。そう語るのは、宇都宮市にある「スイーツ&ヘアサロンハレノヒ」の代表兼パティシエの葛西さんだ。県内外の製菓店4店舗で修行を積み、兄と共にこの店を構えた。一階のスイーツ店は、平日の夕方でも客足が途絶えない。「イチゴの白さを際立たせるように、フルーツソースを添えるのもいいですね」微笑みを携え、このイチゴの可能性に思いを巡らせていた。
 甘さと可憐さを併せ持つ、中まで真っ白な「ミルキーベリー」。このイチゴがメジャーになる日は、きっと、そう遠くはない。

約20アール、8棟のビニールハウスで栽培するイチゴ。現在「ミルキーベリー」は200株ほどだが、今後規模も拡大したいという。

高山ファームチームワークで育む栄養満点な大地の恵み

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 朝掘ったばかりのゴボウを選別し、水で洗い、切りそろえていく。機械化が目覚ましい農作業だが、機械化できない作業もある。ゴボウの選別もその一つだ。目で見て、直接触れて、1本1本ていねいに選別していく。ハードな仕事だが、父、妻、昨年新たに就農した長男との絶妙のチームワークで次々と作業が進んでいく。
 開口一番「農業はやりたくなかったんですよ」と、高山洋さん。農業を営んでいた両親の勧めで農業高校、農業大学校に進学したものの、自動車メーカーの車や部品の開発に欠かせないテストドライバーになったという異色の経歴の持ち主だ。母の病気をきっかけに帰郷、「農業について、きちんと勉強し始めてまだ5年くらいですよ」と笑うが、言葉の端々に農業、そしてモノづくりへのやりがいと愛を感じることができた。
 シャキシャキとした小気味よい歯ごたえ、豊かな香り。“旬をいただく”魅力が、高山さんたちが作るこの1本に詰まっている。
 今回、ゴボウを使った3種類の新しいパンを開発してくれたのは、下野市の人気ベーカリー「ブーランジェリーリール」の荒井オーナー。その五感をくすぐる、探求心と遊び心が詰まったパンは、パン好きならずとも多くの人が知るところだ。ゴボウならではの食感を生かしつつ、肉やチーズなどの動物性タンパク質と合わせ、食べ応えがありつつヘルシーなパンを作り上げた。ゴボウが、酸味やスモークの香りとの相性がいいことに驚く。組み合わせ次第で、これまで知らなかった新しいゴボウのおいしさが見えてくる。
 今まさに旬を迎えているゴボウ。さまざまな食材との相性もいい。その独特の魅力を丸ごと享受し、寒さを乗り切る力を蓄えたい。

大きさ、肉厚さ、カサの張りが高品質の証。箱入りは贈答用に最適。「霊芝」は少量をお湯に入れ、お茶にして飲むのがおすすめ。

株式会社きつれがわファーム新規就農と農福連携で地域への恩返しを

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 さくら市の夫の実家の土地で、シイタケ栽培を行ってきた佐藤さん夫妻。しかし約11年前、最愛の夫がハウスの中で倒れ、突然この世を去った。農業未経験の佐藤さんに農業の心得を教えてくれた義母はすでに他界。義父も夫の死去2年後に病死し、残された農地とシイタケハウスの管理と、幼い子ども4人の世話のすべてを1人で背負うことになる。あまりのショックに、ハウスに足を運べなくなり、人にハウスを貸し出したこともあるが、借り手が定着しない。「私がやるしかない!」と一念発起、再びシイタケ栽培と向き合えるようになったのは、夫の死去から7年の歳月が経過していた。もともと完璧主義、という佐藤さん。「経営者としてやるからには」と、分からないことは人から教わり、自ら研究も重ねた。豊かな香り、肉厚でプリッとした食感を併せ持つシイタケは、贈答用にも人気だ。今は漢方の「霊芝」「山伏茸」も取り扱う。地域の人のサポートもあり、事業も安定してきたため、新規就農者の採用・育成も始めた。「今後、障害を持つ方にも働いてもらえるように、環境を整えています。今年11月から就労継続支援A型事業所を開設するので、ご興味のある方お待ちしています!」と笑顔で話す。従業員の体調と職場環境に人一倍気を配るのは、「健康が一番大切」を、身を持って体験しているから。“母の愛”で就労者を優しくサポートする。
 佐藤さんが栽培するシイタケで『石板焼き』と『野菜の天ぷら』の2品を作ってくれたのは、宇都宮市役所からほど近い場所にある「割烹 伊志佐岐」の料理人・石崎さん。「肉厚で張りのある立派なシイタケなので、シンプルな調理法が合います」と、食材のうまみを存分に引き出してくれた。

大きさ、肉厚さ、カサの張りが高品質の証。箱入りは贈答用に最適。「霊芝」は少量をお湯に入れ、お茶にして飲むのがおすすめ。

吉澤泰範あまり人が手掛けない野菜作りをライフワークに

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 そもそも、初めから志高く突き進む道を極めようとする人ばかりではない。流れに身を任せていたら、自然にたどり着いた先が、“今、ここ”だという人は、案外多い。さくら市で農業を営む吉澤さんも、東日本大震災時に職を失い、農作物を育てることになった、いわば運命に導かれてこの道に辿り着いた一人だ。「幼い頃に祖父母の農作業を手伝った程度で、特別な勉強はしていない」というが、5反の畑で「マイクロキュウリ」や「サラダゴボウ」「アロマレッド」など、あまり目にしない多品目を見事に栽培している。牛の堆肥とわずかな化成肥料で土を作り、農薬の量は野菜の種類によって変える。まるで実験するかのように新しい作物を育てる様子は、農業の魅力にどっぷりとハマっているようにも見える。学生時代に励んだ柔道と相撲で鍛え上げられた体躯は、体力を必要とするこの仕事にピッタリだ。現職への流れは、吉澤さんの経験に基づいた、辿るべき道だったに違いない。
 高校の調理科で講師を務める傍ら、鹿沼市でフレンチベジレストラン「アンリロ」や、フレンチと薬膳を合わせたデリの「オードヴィ」、ビストロ「Le Perican Rouge」と、さらに六次化商品を生み出す“ラボ”も経営するオーナーシェフの上村さんが、吉澤さんのニンジンでひらめいた一品は、『キャロットラペ』。「水分が少ないぶん味が濃いので、生で食べるのに最適です。シャキシャキの食感が楽しめますよ」と、手際よく調理。「薬膳セラピスト」の確かな知識で、旬の食材を季節に適した調理法で提供してくれる。
 身体の声に耳を傾ければ、自ずとセルフメニューができ上がる。元気の源を授けてくれる生産者と料理人に、感謝。

キャベツはクボタの半自動野菜移植機「ベジータキッド」で植え付けを行う。「マイクロキュウリ」はピクルスに最適。

田島仁作り手の声に耳を傾け買い手の心に寄り添う

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 9月上旬からのメロン販売に向け、作業もピークを迎えた田島農園。今日も汗を流しながら、ハウス内で実の育ち具合をチェックする。
 メロンの旬は実に短く、彼岸前後には終了。効率のいい耕作計画を実現するため、メロンとトマトの2品種を生産。家族と12人のスタッフが一丸となり、有機肥料使用・低農薬栽培による安心安全な栽培生産に励む。この時期を逃さぬよう毎年のようにメロンを買い求める常連客。贈答用として贈られた側もそのおいしさを気に入り、遠方からも農園を訪れる。リピーターが増え続ける評判のメロンを横目に、笑顔で意外な一言を告げる田島仁さん。「もともと僕はトマトも食べられないし、メロンも苦手。試食以外は食べません」
 代々続く農家を継ぐため、運送業から転職して7年目。自分が食べられないから、人の反応が人一倍気になる。だからこそ家族やスタッフの声に素直に耳を傾け「おいしいものを食べたい、贈りたい」買い手の心に寄り添うことができる。究極の“お客様ファースト”が田島さんの強み。メロンを通じて喜びを届けるため、サラリーマン時代に培ったコーチングを生かし、新たな農業の道筋を開拓している。
 完熟メロンを使用した愛らしいタルトを生み出すのは、宇都宮市泉が丘のタルト専門店「タルト&ケーキアリアド」オーナーパティシエール藤澤さん。旬の果実を味わえるタルトにはファンも多い。あえて生地を固めに仕上げ、水分を必要以上に染み込ませない。結果、果汁やクリームの水分が生地に染み込み、フルーツのうまみを余すところなく堪能できる、一体感のあるタルトを作り上げる。
 食べる人の笑顔を思い描き、記憶に残る商品を世に送る作り手たち。その想いも一緒にいただこう。

有機肥料の使用、温度と水質管理を徹底し、平均15~16度の糖度を保持。「ローラン」「グレース」のほかオリジナルメロンも生産。

吉原ファーム野菜の声と種の記憶が要 見守り育てる自然栽培

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 山に囲まれた日光市針貝で農業を営む吉原治さんが、さまざまな農法を試し、最終的に突き詰めようと考えたのは「自然栽培」。「奇跡のりんご」を育てた木村秋則氏に刺激を受け、独学で勉強。さらに深く知識を得たいと、石川県にある「のと里山農業塾」に一年間通う決意をし、見識を深めた。卒業後には第一子を授かり、「子どもたちが安心して食べられる野菜を作りたい」との思いは一層強くなったという。
 「長雨で大変な目にあったとか、雨が少なかったとか、タネは育った環境を覚えているんです。そして、その記憶を活かして成長するんです。すごいですよね」。タネが潜在能力を発揮できるように原産国に近い環境を作り、育つ過程を見守り、サポートをする。育成を肥料と農薬無しで、成長を促すということは、簡単なようでいてとても難しい。収穫量も少なく、生産者が抱えるリスクもとても多い。それでも、この農法を続ける理由。それは「やっぱり、おいしいから」。
 自然の力で育った野菜を使用した「身体リセットご飯」を提供するのは、同市内の日光街道沿いにある「自然茶寮 廻」。自然栽培や有機栽培で作られた野菜と、地場産の無化学肥料・無農薬栽培で育てられた「滋養米」を使った料理が楽しめる。体調を崩した経験から、奥さんと2人で“心と身体を労わる”をテーマに店を始め、今年で10年が経つ。吉原さんが丹精こめて育成したダイズは、店主の山口さんの手によって、『チリコンカン』へと変わり、ゲストの“元気”をサポートする。
 “健康でいられますように”作り手の願いが込められた食材が、私たちにたくさんのパワーを授けてくれる。

50年以上作り続ける「ダイズ」。食用花「ダリア」「相模半白胡瓜」「シャドークイーン」など、珍しい野菜も積極的に栽培。