TSUNA-GARU-TOCHIGI

食べる・見る・買う…何気ない営みの中にも、実は栃木の良さがいっぱい。生産者、農作物など普段は裏方であるもう一人のヒーローを紐解くことで「人」の繋がりが見えてくる。

2017年7月

長嶋 徹


“指名買い”続出の枝豆作り

 梅雨の晴れ間、抜けるような青空の下に、県内最大の面積を誇る枝豆の畑が広がっていた。長嶋さんは、もともとはニラを中心に生産していたが、「作る人、作る土地によって味が全然違う」枝豆の“面白さ”に魅了され、以来10年、枝豆を作り続けている。5月下旬から収穫が始まる品種『福だるま』から『湯あがり娘』『ゆかた娘』『雪音』まで、10月上旬までは忙しい日々が続く。それでも“鮮度が命”の枝豆をいつでも新鮮な状態で消費者に届けられるよう、長嶋さんは早朝から夕方まで汗を流す。
 大豆の未成熟状態のものが枝豆と呼ばれるが「大豆のような“穀類”の感覚で作ると失敗する。枝豆は“野菜”として作らないと」と語る。長嶋さん自身がトライ&エラーを重ね、たどり着いたのは、先人の“失敗”に学ぶこと。「農業は経験。マニュアル通りにはいかない。成功談なんて役に立たない。先輩農家の“失敗談”こそが役に立つんです」今は地元の後輩枝豆農家に、自身が積んだ経験を伝えていく立場だ。
 輸入野菜が急増する昨今、日本の農業に対する危機感も感じている。「若い就農者も少ないし、生産者は減っていく一方。今後、国産野菜の価値は上がっていくでしょう。だからこそ、多様化するお客様の価値観をしっかりキャッチして、求められるものを作っていかないと」と力を込める。それでも「農業はおもしろい」と笑う長嶋さんの笑顔に、農業の明るい未来を期待せずにはいられないのだ。

Information

長嶋 徹●ながしまとおる

memo

長嶋さんが作る枝豆は、半分は首都圏で『タンタンえだまめ』として知られるブランド野菜として、半分は「あぜみち」で販売されている。

品種によって香りも味わいも異なる枝豆。

長嶋さんの枝豆

5月下旬〜10月上旬/香りがよく甘みもあり、栄養価も高く、手軽に食べられる枝豆。大豆の特徴を持ちつつ、緑黄色野菜としての成分も併せ持つハイブリッドな存在。

シテ・オーベルジュ

* TSUNA-GU 店

Information

〒320-0807 宇都宮市曲師町1-5

電話:
028-632-0402
営業時間:
PM6:00〜深夜0:00(フードL.O./PM11:00、ドリンクL.O./PM11:30)
 (日曜/PM6:00〜PM11:00(フードL.O./PM10:00、
 ドリンクL.O./PM10:30))
www.otowa-group.com
休:
火曜

* TSUNA-GU グルメ

初夏野菜と伊達鶏ムースのフリット ピリ辛トマトソース添え

素材がいいからシンプルにおいしさをそのまま感じて

 『伊達鶏』のムースを旬の枝豆とトウモロコシで包んで。蒸して揚げるというシンプルな調理法だからこそ、素材本来の風味、うまみを堪能できる。甘みのある味わいに、ピリ辛のトマトソースがアクセントを添える。

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Shop

畑市場 -はるいちば- の【花ズッキーニ】

宇都宮市 畑市場 -はるいちば-

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花の香りと彩りで、料理をいっそう華やかに!

 イタリア料理店の夏のメニューとして登場することも多い花ズッキーニ。いわゆるズッキーニよりも未成熟で、花のついた状態で収穫。花の咲いているほんの短い期間だけが食べごろ。花の中に詰め物をして提供されることが多い。ズッキーニの風味に華やかさがプラスされた風味は、夏の訪れを感じさせてくれる。

畑市場 -はるいちば- の【ナス】

宇都宮市 畑市場 -はるいちば-

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アレンジ自由自在!多彩な調理法と相性抜群

 夏野菜の代表格。水分たっぷりでビタミンやミネラルがバランスよく含まれており、食欲が落ちる暑い時期にぴったりの食材。煮ても焼いても揚げてもおいしくいただける、まさに万能選手!日本と同じく、旬を大切にするイタリア料理でもおなじみ。品種により色や形もさまざまで、その個性を楽しむのも◎。

畑市場 -はるいちば- の【アーティチョーク】

宇都宮市 畑市場 -はるいちば-

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自家菜園だからいつでも採れたてやわらか!

 春から夏にかけて旬を迎える、イタリア料理ではおなじみの食材。和名は「チョウセンアザミ」。イモ、ソラマメ、栗のようなほのかな甘みとホクホクした食感が特徴。日本ではまだあまりなじみがない食材だが、サラダ、スープだけでなく、パスタの具や焼き物にしてもおいしくいただける汎用性が高い食材だ。