TSUNA-GARU-TOCHIGI

食べる・見る・買う…何気ない営みの中にも、実は栃木の良さがいっぱい。生産者、農作物など普段は裏方であるもう一人のヒーローを紐解くことで「人」の繋がりが見えてくる。

2019年1月

赤川農園


一瞬のひらめきを大切にクリエイティブな農業を

 地面に落ちた一枚の枯葉を見て何を思うか——。「知恵は知識にまさる」とはパスカルの言葉だが、赤川さんは、観察で得たひらめきを農業に生かす達人だ。有機栽培でレンコンを育てる赤川さん。使用する肥料は、「乾燥茶葉」「カカオの皮」「コーヒーかす」「大豆」「でんぷんのり」と、原材料はすべて食品。「乾燥茶葉は保水力があるので、腐葉土の枯葉より養分を保持してくれる。ここの砂地に適した堆肥はこれだ!と思いました」その発想力は、鳥よけにも発揮。「鴨が育ったレンコンを食べてしまうんです。被害に遭わない方法を考えていた時、草がある場所だけ無事なことに気付いて」あえて畑で草を育ててみると、これがビンゴ!鴨が草を食べるためか作物への被害は減少。しかし、養分が取られてレンコンは痩せてしまう。「草を茂らせるタイミングを何年も調整して、今年で4年目。やっといい頃合いを計れるようになりました」晴れやかな笑顔を見せる赤川さんからは、レンコンへの惜しみない愛情が感じられた。
 二期倶楽部の総料理長などを歴任してきた宮﨑オーナーシェフが、自由な発想で訪れる人を魅了する「美食工房ラトリエ・ムッシュー」では、赤川さんのレンコンを使った料理を提供している。店で使う食材は、すべて自ら出向き、自ら味わい、厳しい目で選び抜いたもの。「赤川さんのレンコンは、レンコンそのものの味わいがしっかりしている。食感もいい」と宮﨑氏。この“レンコンそのものの魅力”がストレートに伝わるよう、さまざまな調理法を駆使。レンコンのまた新たな魅力に気付かせてくれる。達人が育てた野菜を達人が調理し、提供する。ゲストとして訪れる我々は、その競演に魅了されてやまない。

Information

赤川農園

大豆や乾燥茶葉などを混ぜた堆肥は、毎年約4〜6トン使用される。“ムチン”を豊富に含むレンコンは、風邪の予防に最適!

美食工房 ラトリエ・ムッシュ—

* TSUNA-GU 店

Information

325-0107 那須塩原市高林1721-101

電話:
0287-73-8550
営業時間:
完全予約制(受付時間/AM9:00〜AM11:30、PM3:00〜PM6:00)
http://latelier-monsieur.jp/
休:
月曜、第2・4火曜(祝日の場合は翌日)
駐車場:
7台

* TSUNA-GU グルメ

赤川さんのレンコンを使った一皿

 『グルメコース(10,800円)』でいただける料理の一例。宮﨑オーナーシェフの言葉を借りれば“レンコンそのものがおいしくないと成立しない”料理だ。レンコンの変幻自在のおいしさを体感できる。