TSUNA-GARU-TOCHIGI

食べる・見る・買う…何気ない営みの中にも、実は栃木の良さがいっぱい。生産者、農作物など普段は裏方であるもう一人のヒーローを紐解くことで「人」の繋がりが見えてくる。

2021年8月

黒川梨園 黒川 伸介一さん


市街地近くの農園で糖度の高い完熟梨を栽培

 宇都宮市中心部から国道123号線を東へ向かい、鬼怒大橋を渡り終えたところ、道の両側に広がる梨畑が黒川梨園だ。一町二反の広さを、両親と奥様と、家族4人で手がける。取材時は「幸水」が実をつけ始めたばかり、8月下旬には「豊水」が最盛期を迎える。街なかでの梨の栽培は難しいのでは?と質問すると予想外の答えが返ってきた。「ここはもともと鬼怒川の河原だったところで、少し掘ると砂が出てくる。お陰で水はけがとてもよいですし、畑の横を大きな道路が通っていることで、車が風を作り空気を循環してくれるので、冬の寒さが和らぎ、霜の被害を受けにくい。実は梨の栽培にとても向いている土地なんです」そう教えてくれた。「梨農家は冬は暇なんでしょう?とよく言われるんですよ」と笑う黒川さんだが、実は一年中多忙だ。冬場は枝を剪定し、高く伸びすぎないよう横に這わせる作業を行う。たくさん枝を残せば梨の収穫量は増えるが、黒川さんは太陽の光が実にしっかり届くようにと間引く。そして夏場は灌水。水はけが良い土地ゆえ、水の管理には特に気を遣うそうだ。そうしてたっぷりの愛情を受け、樹上で完熟した梨は格別の味わい。毎年、遠方から訪れるリピータ―も多いという。これからの時期は、贈答用「にっこり」の予約も始まり、まだまだ繁忙期が続きそうだ。
 そして、毎年この時期になると梨を使ったケーキがショーウインドウに並ぶのは、宇都宮の人気洋菓子店『S・ナカヤマ』。水分が多く生菓子には向かないと言われる梨だが、軽く煮たり、ゼリーでコーティングするなど工夫を凝らし、梨の食感を崩すことなく新たなおいしさを提供している。季節限定商品のため、購入に訪れる際は事前に確認するのがおすすめ。

Information

黒川梨園 黒川 伸介一さん

電話090-8815-8885

自慢のおいしい完熟梨は、直売所と「あぜみち」各店で購入できるほか、FAXでの注文も可能(090-8815-8885まで、事前に問い合わせを)。出荷準備を担当するのは奥様とお母さん。あ・うんの呼吸で作業が続く。

菓子工房 S.NAKAYAMA

  

* TSUNA-GU 店  

Information

320-0051 宇都宮市上戸祭町2834-33

電話:
28-621-6575
営業時間:
AM9:30~PM7:00
休:
水曜
駐車場:
12台
URL:

www.instagram.com/s.nakayama_since2014/?igshid=cxva48i71gne

                

* TSUNA-GU グルメ

梨コッタ

農家直送の新鮮な梨を、食感が残る程度に白ワインで煮てゼリーでコーティングし、パンナコッタの上にトッピング。梨のシャリシャリ感と、プルンとしたパンナコッタの食感が楽しい季節限定商品だ。