- 農業と運送業の粋な関係 新たな一歩が地域貢献に -
時として、異業種からの新規参入というのは歓迎されにくい。
運送会社を母体に持つ、さくら市の「和みの杜」は、定年が70歳というドライバーの「定年後再雇用の場を確保したい」という思いから農業を営み始めた“新参者”だ。
皆、本格的な農業は未経験。
離農者所有の農地を借りるにも、“農家としての信頼”が薄いために苦労の連続。
しかし、堅実に農業に向き合い、周囲からの信頼を得られた現在では、契約栽培でイチゴやショウガ、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモに米と、数多くの品目を育てられるまでに至った。
ハウスで土耕栽培をするイチゴの「スカイベリー」は長さ60メートルの畝で、艶やかで鮮やかな赤を放つ。
「蜂の受粉がうまくいくと、綺麗なイチゴが育つんです」と、部長の郷間さん。
「運送業の閑散期に農作物を運べるので一石二鳥。ほかを経由しないので、新鮮な状態でお届けもできます」と、この形態の利点を語る。
理にかなった両立から新たな農業スタイルを垣間見ることができた。
イチゴをキュートなデザートに変身させて人気を博しているのは、宇都宮市の菓子工房「S・ナカヤマ」。
ショーケースにはイチゴを使ったケーキがズラリ!「スカイベリーは水分が多いので、ケーキで扱うのは難しいんです」と語るオーナーパティシエの中山さん。
「あまりほかでは見かけない、めずらしいイチゴのケーキを楽しんでもらいたいと思って挑戦しました」と、“イチゴ王国・栃木”ならではのケーキの完成を喜ぶ。
生産者が手塩にかけて育てた果物が、熟練のパティシエの手に渡り華麗なる変身を遂げる。
そんなファインプレーから生まれた至福のスイーツ、ぜひ心ゆくまで味わおう。
● 和みの杜
養蜂場からレンタルするみつばちは、イチゴの生産にはなくてはならない存在。
農地で生産された作物は、自社トラックで運搬。