- 祖父の想いを受け継ぎ イチゴ農家へ転身 -
2年前まで、飲食店の店長を務めていた髙橋さん。
29歳という若さで農家へ転身したきっかけは祖父の死だった。
野菜嫌いだったが、祖父の育てた野菜だけは食べられたという髙橋さんにとって、祖父の畑は特別な場所。
しかし祖父の死後、畑は放置され荒れていった。
「自分のルーツであり、祖父が大切にしていた畑を守りたくて、農家を継ぐ決心をしました」。
店を辞め、県農業大学校の未来塾で技術を学び、昨年イチゴ農家として一歩を踏み出した。
とはいえ既に50メートルのハウスが8棟、新規参入としては大規模だ。
「農家は家族経営が多いですが、僕は企業化したいです。
そのためには年間を通しての収益が必要で、夏野菜の栽培なども考えたらこの規模になりました」。店長として培った経営者視点も役立っている。
「他業種から入る僕のような立場は、新しいことにチャレンジしやすい。これから農業をやりたいと思っている人たちが働きやすい環境づくりを考えていきたいです」。
現在栽培しているのは「とちおとめ」のみだが、いずれ品種を増やし、ハウスを増設し、市街地から近い立地を生かした観光農園のような形を作り、地域のカフェなどとコラボレーションし街を盛り上げたいと考えているそう。
髙橋さんの今後の活躍が楽しみだ。
そんな髙橋農園の「とちおとめ」を使ったフルーツサンドが人気なのが、昨年オリオン通りにオープンした「茶果TEA ROOM」。
「髙橋さんはいつも真っ赤に完熟した一番おいしいイチゴを届けてくれます」と荒井店長。
「酸味と甘さのバランスが良く本当においしいイチゴなのでいろいろ使ってみたくなります」。
イチゴと店オリジナル生クリームとの相性も抜群。
至福のひとときを運ぶ一品だ。
● 髙橋農園 髙橋 祐哉さん
大谷石の蔵が選果場兼直売所。
大きな完熟イチゴは、温度や梱包方法までこだわった独自のマニュアルのもと管理され出荷される。