- ホワイトアスパラで地域ブランドの確立を目指す -
暗闇の中で灯されたヘッドライトの光を受け、白い姿が浮かび上がる。
神々しい白さを放つホワイトアスパラを育てるのは、さくら市で農業を営む大谷恭伸さん。
県内の農大で学んだ後、北海道の酪農学園大学でより詳しくアスパラガスの栽培技術を習得。
グリーンアスパラを育てる両親の背中を見てきたため、アスパラを勉強することは自然な流れだった。
「農業者の認定を受けたときに、県から周りで作って無いようなものをと勧められて。それなら、ホワイトアスパラにチャレンジしてみようと」
育成環境が特殊なホワイトアスパラ。
ハウス内を40度以下に保つため、天気良好時ほど換気に気を配る。
「早朝と昼、暑さのピークの午後2時頃と、夕方の計4回。こまめに温度を管理しています」茎に水滴を多く纏い、みずみずしいが故に折れやすい。
光を浴びると緑色に変色するため、収穫時の光も最小限にすることが必要。
見た目通り、繊細なホワイトアスパラは、気温が高くなると栽培が難しいため、4月下旬に生産は終了だ。
大谷さんが手塩にかけて育てたホワイトアスパラを調理してくれたのは、氏家駅西口ロータリーすぐそばの「フレンチバルGOE」の五江渕一真オーナーシェフ。「ホワイトアスパラは柔らかくなるまでゆでたほうが甘みが増しておいしいですよ」ゆで汁に小麦粉を入れて白さを際立たせたり、レモンの酸味でえぐみをなくしたり。
素材の状態を見て、完成の一皿を思い描きながら仕込み方を変える。
「素材があってこその料理。食材がどう調理して欲しいか、語りかけてくるんですよね」百折不撓の経験者だからこそ聞こえる声を頼りに、新しい美食を産み出す。今だからこそ楽しめる旬の味わいを、たっぷりと堪能しよう。
● 大谷恭伸さん
遮光シート「ホワイトシルバー」でハウスの内側を覆い、光を完全に遮断。
白さ際立つホワイトアスパラ。泥落としに気を配る。