- 異業種の経験を生かした新たな農との向き合い方 -
大田原市立奥沢小学校のすぐ近く。
ここで小山田さんは16品種の桃を生産している。
驚いたのは木の低さ。
木をパラボラアンテナのように広げることで桃に均一に太陽の光が当たる。
低木栽培することで桃の品質を高水準に保ち、作業効率をアップ。
さらに農薬はほぼ使わず消毒だけ。
肥料も木の周辺の植物をそのまま有機肥料として使用する。
「手をかけずにやりたい」と笑いつつも、効率よくより良いものを楽しみながら作る、それが小山田さんの哲学なのだろう。
小山田さんは、美容師として都内で働いていたが、父親が始めた桃の生産に興味を持ち、地元に帰郷したという異色の経歴の持ち主。
それゆえか、農業に対する取り組み方もまた一味違うように感じられる。
桃の生産・販売だけでなく、経験を生かし、美容商材の開発にも積極的に取り組む。
栃木県を代表するフレンチ「オトワレストラン」では、小山田さんの桃を使用。
地元の旬の食材を使った郷土愛あふれる料理は、すでに多くの人の知るところだ。
豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」でも料理を提供する同店。
栃木県内でもまだ桃の生産者は少ない。
しかし「栃木県の魅力的な食材を紹介したい」と生産者を探したところ、たどり着いたのが「おやまだ桃農園」だったという。
桃の個性を見極め、生食はもちろん、真空調理やローストなど調理法を変え、桃の個性を最大限に引き出すその技は、さすがの一言。
肉に火入れをするようにじっくりローストした桃は濃厚なコクをまとう。
真空調理した桃は、まるでガラス細工のような美しい透明感。
生食でもおいしい桃。
調理法によって、さらにさまざまな表情を楽しませてくれる食材なのだと、新鮮な驚きを感じることができた。
● おやまだ桃農園
元美容師の経験を生かして開発したシャンプー&トリートメント『那須野ヶ原Shangri-la』。地元の美容室でも人気!