- 豊かな自然が育む 栄養豊富な夏のオクラ -
緑豊かな田園地帯にある内藤さんの畑。
青々と茂る葉が、まるで緑の海のようにオクラ畑を埋め尽くす。
美しく手入れされた畑は日々のていねいな作業の証だ。
内藤さんが就農したのは7年前。
それまで飲食業に就いていたが、体調を崩したのを機に祖父の農地を引き継いだ。
「最初は肥料をやって水をまいておけば大丈夫でしょ、と思ってました」と笑う。
農業の知識ゼロからの出発は失敗の連続。
何千株もの苗をだめにし、数カ月間無収穫の時もあったという。
「特に土づくりには苦労しました。原因不明の病気が出て土を調べたら、カルシウムやリンなどが不足していることがわかり、カキ殻を砕いてまいたり。今も土づくりの試行錯誤は続いています」。
そんななか助けてくれたのは地域の先輩たち。
「あぜみちの集荷場で先輩と話すようになり、いろいろなことを教えてもらっています。この地での長年の経験は、どんな知識よりも勝ります。師匠がたくさんいてくれてありがたいです」。
秋からは主力商品のラディッシュやイモ類の出荷が始まる。
「今後は山菜の出荷にも力を入れていきたい」と話す内藤さん。
「工夫次第で結果が変わるのが農業の面白さ。若い人にもどんどん参入してきてほしいですね」と話してくれた。
夏の太陽を浴び元気に育ったオクラを、和食の定番『タコおくら』に仕上げてくれたのは、和の名店「京都吉兆」で修行を積み、その心を伝承する「日本料理 篠」の篠原料理長。
「オクラは夏の和食に欠かせない食材。旬の味を家庭でも楽しんでください。器にスープの素と刻んだオクラを入れ、熱湯を注ぐだけでもおいしいスープになりますよ」と教えてくれた。
栄養たっぷりの夏野菜を、上手に食卓に取り入れたい。
● 内藤 聖さん
さわやかな香りに包まれるハウスの中では、ハーブ類が元気に育っている。
まるでハイビスカスのような美しいオクラの花は、たった1日で咲き落ちてしまうという。