- 作っているものは“こだわり” -
今回訪ねたのは、栃木市のトマト農家「山野井農園」。
ハウスの中では、一足早く訪れた春の暖かさに次々と色づくトマトたちが出迎えてくれた。
「今は一日置きに朝から夜まで収穫。忙しいですね」とはにかむ次男の祥平さん。
メインで育てているのはファースト系トマト。
しっかりとした果実で、完熟出荷ができる桃太郎トマトに比べ、傷みが早く、未熟なうちに収穫・出荷されるようになり、大切な味がどんどん犠牲にされるようになってしまった品種だ。
故に“作りにくい”と一時はほとんど見かけなくなってしまったが、山野井さんはファースト系トマトの生産にこだわり続けた。
「おいしいものを作りたい。農家の意地です」
そう。「山野井農園」で特筆すべきは、自分たちのその“こだわり”を売る、という強い意志。
水耕でトマトを生産すれば品質も安定し、大量供給も可能だ。
しかし山野井さんは自分たちが手の届く範囲で納得できるものを生産し、自ら販路を開拓する。
農業とは工業製品ではなく“作る”から“売る”までが一体となった“モノづくり”なのだと改めて感じさせられる。
父親の好一さんは自身を“新しい物好き”と表現する。
それも“より良いものをどうやって売るか”を最大限に考えているからこそ。
そのフロンティアスピリットは祥平さんに確実に継承されている。
栃木県の農業の未来は明るい、そんな確信が湧いてくるのだ。
● 山野井農園/やまのいのうえん
栃木市でトマトを生産。
宇都宮市で山野井農園のこだわりのトマトが買えるのは「あぜみち」だけ!
春の陽気に次々とトマトが赤く色付いていく。
●山野井農園のトマト
収穫時期:春〜初夏/夏野菜の代表のイメージがあるが、実は最もおいしく食べられる時期は春から初夏。
サラダからデザートまで多彩な調理法で楽しめる。