- 父の背中を見つめ、越える日を想い描く -
「あぜみち」一号店の時代から長年の取引があるという、さくら市郊外の「笹沼イチゴ園」を訪ねた。
取材に応じてくれたのは、仲の良さと笑顔が印象的な笹沼槙司さん、望美さん夫妻だ。
イチゴ農家に生まれた三人兄弟の末っ子として育った槙司さんは、一度県外で就職するも、実家を継ぐ者がいないことを憂い、「イチゴ食べるのも好きだし」と3年前にUターン。
実際に手伝い始めると、同園では近隣イチゴ農家で使用されるフリー苗の育成も行っており、収穫の無いオフシーズンも作業が多いことも相まって、想像以上にキツい仕事に、始めてすぐ「考えが甘かった」と感じた。
さらに父は寡黙で職人気質、仕事は見て覚えろと言わんばかり。
それでも「辞めろ、と言われない限りは辞めない」と心に決め、母に聞いたり、自分で調べたりと勉強しながら知識と実践を深めてきた。
まだ一番大事なイチゴの管理は任せてもらえず、うまく話せないもどかしさや反発心を覚えながらも、新しいもの好きでフットワークの軽い、勉強熱心な一面も持つ父には尊敬の念を抱く。
長年イチゴ園を夫婦で切り盛りしてきた両親の姿を改めて目の当たりにし、「自分たちが同じ年代になったときにあんな風になれるのか」という不安を感じることもあると言うが、若き二人はまだまだ始まったばかりの挑戦の途上。
これからの活躍に期待したい。
● 笹沼イチゴ園/ささぬまいちごえん
さくら市鷲宿
約10年程前から「あぜみち」へ、父の笹沼恵介さんの名前でイチゴを出荷。
長年のファンからの“指名買い”も多い。
現在はとちおとめとスカイベリーを扱う。
箱入りギフト用スカイベリーが今季から「あぜみち」に登場。
●「笹沼イチゴ園」のイチゴ
収穫時期:1月〜3月/紅く瑞々しく輝く、ジューシーな果実。
まろやかな甘さのスカイベリーと、根強い人気のとちおとめ。