- 「まるで子どものように思っています」 -
先代である近江さんの父親が始めたキノコ栽培。
当初はナメコ栽培をしていたが徐々にシイタケを栽培へシフトしてゆく。
近江さんは電気メーカーに勤めるサラリーマンだったが、32歳で退職。
父親に勧められる形でこの仕事に就いた。
「当初は、父に教わればだんだんと分かってくるだろうという軽い気持ちもありました」。
しかし、シイタケ栽培の難しさに直面。
収穫の半分ほどを占めるC級品は市場に出すことができないのだ。
当時は父親の方針もあり、廃棄するしかない状況があった。
市場が求める基準を満たさないC級品。
形は基準を満たせずとも味はA級品と遜色の無い出来。
一定数の“不良品”が出るのは生産上仕方ないにせよ、味に問題の無いシイタケを「売る仕組み」が必要と考えた。
そこで近江さんは自らスーパーに赴き、地場野菜コーナーで規格外品の販売を直談判し、新たな市場を開拓したのだった。
そして現在、栽培に至っては、菌床の状態で買う農家も多い中、菌床づくりから収穫まで、すべて自社で一環して行い、シーズンで約10トン、1日で400パックほどを収穫。
季節に合わせて、4種類ほどの品種を育てている。
「シイタケを育てているというより、菌を育てているという感じ。まるで子どものように思っています」とそのシイタケに注ぐ愛情を語ってくれた。
● 近江ファーム/おうみふぁーむ
一度食べた人が「ほかのしいたけはもう食べられない」と語るほどに香り高い、肉厚なしいたけは、「あぜみち」各店でも販売中。
(宇都宮市中岡本町)
そのまま炭火焼にして食べれば、香りや肉厚な身のジューシー感がぜいたくに味わえる。
●近江ファームのシイタケ
旬/秋(ハウス栽培なので収穫時期は秋~春)
今回は、等に芳醇な香りと肉厚な傘が特徴の品種を使用。