- 未来に目を向け、地域と関わりながら前進 -
宇都宮市上籠谷町にある「山口果樹園」。
国道に面しているわけではなく、決して交通のアクセスも良いとは言えないのだが、直売所にはひっきり無しに客が訪れる。
皆のお目当ては梨だ。
この地で3代に渡り梨を栽培、現代表を務めるのは山口幸夫さん。
「28歳の時に後を継ぎました。最初は畑一枚のスタート。
でもその頃は梨の価格も安く、大変でした」と当時を振り返る。
しかし、ただ“大変”と嘆くのではなく、山口さんは土地の拡大、ハウスの拡充など設備に投資。
梨作りの転換を図る。
直売所には家族総出で撮影したチラシ写真がある。
今でこそめずらしく無くなった販促物。
「作り手の顔を見えるようにすると美味しく感じてもらえると思ったんです。おじさんの顔よりは家族みんなの笑顔があったほうがいいでしょ(笑)」。
作り手の温もりを消費者に伝える戦略。
当初子どもだった子どもたちだが、次女は旦那さんと共に果樹園に立ち、ブルーベリーやキウイ栽培に携わる。
奥さんのアイデアで、「梨ができるまで」を絵本にして配った。
これも梨作りを知ってもらい、楽しんで欲しいという意図の表れだ。
その甲斐もあり、今では人が人を呼び、奥まった立地でも多くの人が足を運ぶ。
「来てくださった方を大切にしたいです。これからもいろいろ楽しんでもらおうと画策中です。
地域の方々への恩返しでもあります」と語った。
● 山口果樹園/やまぐちかじゅえん
敷地には直売所を併設(宇都宮市上籠谷町2937・028-667-0523)。
季節ごとに種類豊富な梨を栽培し販売。
http://yamaguchi-kajyuen.com/
「幸水」「豊水」「新星」「あきづき」
「にっこり」と豊富に栽培している。
●山口果樹園の梨
旬/夏から秋頃※品種により異なる。
山口果樹園では、さまざまな品種をハウスと露地で栽培している。