- 生産の快適化を目指す高品質なリンゴ栽培 -
御伽話に出てきそうな、独特なフォルムのリンゴの木。
「白雪姫に出てくる毒入りの果実は、なぜリンゴだったのか?」のアンサーが、「作者が個性的な木の形にインスパイアされたから」との解答だったら、至極納得できる。
「低い位置に実がなるように、あえてこの形に剪定をしているんですよ」と阿部祐一さん。
宇都宮市の日光街道沿いにある観光農園「阿部農園」の3代目として、昨年父から家業を引き継いだ。
リンゴ狩りができる品種は「津軽」「名月」「秋映」「陽光」「ふじ」の5種類。
この畑のほか、近隣に6カ所の果樹園を持つ。
全耕地面積1ヘクタールを、両親と祐一さんの3人で管理。
品種により収穫時期が変わるとはいえ、摘果や剪定作業は同時期に行わなければならないため、スピードが求められる。
「低位置に枝があれば作業効率が上がります。剪定により収量は減りますが、取り遅れなどがなくなるため、品質は向上する。なので、お客様には喜んでいただけると思います」。
加えて、年齢を重ねた両親が仕事をしやすくなることもポイントだという。
収穫時のカゴの重さは約5キロ。
脚立での作業が減れば、身体への負担も軽減する。
「今後は植え替えを行っていきたい」と語る祐一さんの目標は、高品質なリンゴ栽培と、労働環境の整備だそうだ。
リンゴとフォアグラとの相性の良さをタルトの形で表してくれたのは、同市内にある「天空ダイニング Regalo」の鈴木シェフ。
リンゴの甘みと酸味が、濃厚なフォアグラと鶏レバーの味わいに寄り添った、個性的かつ趣深い一皿を完成してくれた。
食材の可能性は無限大。新しい味との出会いは、私たちに喜びを与えてくれる。
● 3代目 阿部農園 阿部祐一さん
7月下旬の様子。まだ青い部分が多い。
これから色付き始め、8月下旬から順次販売予定。
農園には樹齢30年を超える木も。